コロナ時代のセレクトショップの在り方


現状コロナウィルスでインバウンド売り上げが見込めず、閉店した店や、店舗数縮小を余儀無くされる都内セレクトショップが多く見受けられる。そんな中で、県外古着屋の契約バイヤーやFACHがプロデュースする古着屋「天狗」のバイヤーを兼任し勤めている【K】が考えるwithコロナ時代に向けた買い付け方とセレクトショップを運営する上でのキーワードをご紹介したいと思う。

 

まず、初めに重要な2つのキーワードをご紹介しておく。

「顧客特化型」「希少性のあるアイテム」

このワードにフォーカスして解説していこう。

 

まず、「顧客特化型すでに実践しているお店を紹介する。

下北沢にある「VELVET 」だ。

コロナウィルス蔓延前には多くの流動客が見受けられた下北沢において、流動客をメイン客層とせず、スタイリストやショップ店員、顧客層にフォーカスしたトピック性のある商材を取り揃えている名店だ。

商品の仕入れ一つ見ても他の店では見られないVintageと厳選されたセレクト商品、VELVET別注商品が多くのファンを今も尚、魅了している。

これからの時代は流動客の数は減りインバウンド売り上げが見込めず、邦人の目的来店が増えていく中でどれだけ顧客のニーズにフォーカスした商品仕入れが出来るか、どれだけ顧客と呼べる消費者の母数を増やせるかが鍵となるのは間違いないであろう。

都内で大きく構えている大手セレクトショップは流動客とインバウンドの来店不足により、売り上げが6割程度の落ち込み、今後3~4割の売り上げ規模となる見込みだ。

一方で地方の個人経営セレクトショップは地方密着型(顧客特化型)を主流にしている為、根強いファンを抱えているのでそこまで大きなダメージは受けていない。

総じて、どの企業もECの売り上げに向けた取り組みに力を入れているが、

見直すべきは ”これからお店に足を運んでくれるお客さんや今まで来てくれていた既存顧客との向き合い方” なのではないかと思う。

 

次のキーワード「希少性のあるアイテム」だ。

消費者目線に立つと、収入自体が減り、「また蔓延した時のために」「何が起こるかわからないから貯めておこう」、、、保守的になるのは当然だ。

ファッションや洋服は趣向品に過ぎず、必要最低限の買い物(ミニマリスト)や代替えで済ませる、シーズンレスなど洋服に対しての出費にシビアになる事が当たり前になっていくだろう。

これからの世の中では、「このお店でしか買えない」「~足限定販売」「国内未発売商品が入荷」など今挙げた希少性を表現するワードが消費者にとってはより一層際立って聞こえるフレーズになるだろう。

これからお店で買い物をする消費者の8割は目的来店になり、残りはECで購入するための下見になるだろう。

だからこそ、その店でしか買えない別注や一点モノのリメイク品、もう手に入らないデザイナーズアーカイブ、など付加価値をつけた上で買い付けや商品生産をする事がwithコロナ時代でのスタイルだと思う。

 

そして消費者が買い物をしようと考えたときに一番最初に頭に浮かび、またあのお店に行こうと思えるようなお店がwithコロナ時代で戦えるセレクトショップとしてのビジネスモデルになるだろう。